劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト感想レポート
劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト感想レポート
はい。というわけで本日劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライトを見てきたのでそれの感想レポになります。
始まりは急に飛んできたこのLINE。
というわけで道連れを募集された結果映画館に行くことになりました。
前日に公式YouTubeチャンネルで冒頭映像が公開されてることを発見するも午前1時まで悩んだ挙句勇気が出なかったので視聴することなくGO。
------------------------------------------この記事は劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトのネタバレを含んでいます。-------------------------------------------------
当日はいきなりトマトが弾ける描写から始まります。愛城華恋の目に重なって何を意味するのかもよくわかりません。
その後キリンが「舞台に間に合わなかったのだろうか。舞台はもう終わってしまったのだろうか」と走ってきた後、塔の目の前で「いや、舞台はこれから始まるのだ」と呟きます。これから始まる新たな舞台に期待感マックスです。
壮大な音楽と主に華恋とひかりの決別が描かれます。
「今こそ塔から降りるとき」「私たちは一緒には居られない」「この舞台は別れのための舞台」
思えばこの冒頭部分で使われている言葉は何度も繰り返されていた気がします。
例えば99期生の決起集会で歌われていた「頂点の景色に背を向けて」。
石動花柳の「これにて縁切り」、星見台場の「またいつか舞台で会いましょう」、露崎神楽の「いってらっしゃい」。
この部分を書いている時点で記憶が薄れ、華恋とひかりのラストシーンがどんなものだったかを忘れている自分には腹が立ちますが、おおよそ似た表現を繰り返し使っていた記憶があります。
「この舞台は別れのための舞台」
その言葉の通りに。別れるため、先へ進むために解決しなければならなかった事を一つずつこなすようにこの劇場版は進んでいきます。
脚本と演出の子に舞台には裏方が居るのだと伏線を貼られ、新国立第一歌劇団の見学に浮かれる3人に普通の楽しみ喜びを焼き尽くしてきた舞台少女との違和感を感じさせ。
台場ななによる皆殺しのレヴューで皆が舞台少女として死んでいた事を理解させ、「死せる舞台少女」であったアニメ初期の神楽ひかりを思い出させ。
あまりの猛スピードで脳のキャパシティがいっぱいになった頃合いで大きな疑問が投下されます。
「列車は必ず次の駅へ――――
では舞台は?
あなたたちは? 」
運命の舞台を競い合って、燃え尽きていた彼女たちに次の舞台を思い起こさせます。
星見純那のつぶやきが頭に残っています。
「いったい何にケリをつけろっていうのよ」
キリンのトマトを食べ、燃料は追加されました。
では一体どこへ向かえばいいのか。私たちが思っている通りの進路ではだめなのだろうか。
熱に動かされるように、アニメで解決されていなかった感情がぶつかり合います。
「ずっとあたしの1番のファンでいてくれると思ってた」
「お前の後ろをついてくだけじゃダメなんだよ」
ずっと二人でいたからこそ、交わされなかった言葉に抱いた感情を爆発させた者。
「あなたの事が大嫌い」
「怖かったの」
引っ込み思案で他者を思いやるばかりに内に秘めた感情を表に出した者。
「煌いていたよ、君は」
「私の言葉じゃないとダメ」
再演の果てに見たものによって突き動かされた者。
「「貴方には私を」」
追うものと追われるもの、互いによって互いが何かを理解した者。
きっとこれは愛城華恋のような線路ではなかったのだと思います。
それぞれがあの1年間で得たものが彼女たちを動かし、隣にいたものとの中に何かをつかんだんだと思います。
台場ななはワイルドスクリーンバロックを「あなたたちが演じる終わりの続き、わがままで欲張りな観客が望む、新しい舞台」と答えていました。
ロンドロンドロンドによる再演の果てに終わりをみたなら、きっと彼女たちはこのまま朽ちていくはずだったのかもしれません。
露崎まひるはロンドンへ逃げた神楽ひかりに心配していたのかもしれません。
彼女の舞台によって煌きをすり減らしたか、それとも愛城華恋に目がくらんだのか。
出会った神楽ひかりは腰が引け、後退り、自分の舞台を作り舞台装置を動かす舞台少女ではありませんでした。
それでも認め、本音を引き出し、一度逃げ出した華恋の元へ神楽ひかりを向かわせられたのは彼女だったからだと思います。
「あと二人」
さて、各々の心にあったわだかまりを解き、愛城華恋と神楽ひかりになったときにキリンが発したこの言葉。
私はこの言葉を聞いたときに妙に納得してしまいました。
といってもこの映画を見る直前にもアニメ版のレヴュースタァライトが無料になっており、TL上に新規の方が何人か見ていたのですがその中に
レヴュー『スタァライト』と『レヴュースタァライト』という別の舞台
という解釈があり、私の中に有ったレヴュースタァライトの大きな疑問の1つに答えを出してくれていたのです。
99期生決起集会にあった「第100回聖翔祭を超える」というものは「『レヴュースタァライト』を超える」という事であり、役者が8人であったレヴュー『スタァライト』とは全く別のものだとちゃんと感じられたのです。
物語は最終章へ。
愛城華恋と神楽ひかりの決着がつけられます。
露崎まひるによって背中を押された神楽ひかりが終着駅にたどり着き、キリンによって彼女にも燃料が与えられます。
一方これまで何度か挟まれていた回想編によって、華恋の過去について私たちは知ることになります。
文通のみで連絡を取り合い、いつか舞台の上で再会するという約束。二人でスタァに。華恋の机の上にあった手紙はひかりからの招待状だった事、ひかりが華恋を迎えに来ていたことがわかります。
彼女が約束のためにどれほど努力していたか、そして約束を覚えているのが自分だけでないかと不安に思いその年に入学した王立演劇学院の合格者一覧を見ていたこと。そのために一番レベルの高い場所を目指したこと。
相対した神楽ひかりと愛城華恋。
死んだ舞台少女である華恋を再び迎えるかのように引き起こすひかり。
アニメで絶望の末に再生産したひかりだからこそ、燃料を改めて燃やすことで再起させられたのだと思います。
燃料をくべ、燃やし、舞台少女としたうえで刺し、改めて招待状を燃やすことで再生産させる。
次の舞台すらなかった彼女と競い、二人でスタァになる。
正直な話、ラストのシーンの大半を今の私は覚えていません。
彼女たちが何を思い、何を叫び、どうなったかを覚えていません。
ただエンディングロールでみんな笑っていたことに安心した記憶だけあります。
「私たちは既に舞台の上」
「私たちは舞台の上では何にだってなれる」
感動と、前に進む勇気をもらった気がします。
レヴュースタァライト、ありがとうございました。
2021/6/13
ショパン(@precept0123)